前回の旅Vlogの続きが少しあるので、よろしければ、こちらも楽しんでいただけると嬉しいです^^;
ゴッホ展後、買い物が終わった時間は16時すぎ。もう1か所ぐらい(割引が使える美術館を行けたらと思い)近場の美術館を探しところ、唯一『パナソニック汐留美術館』だけが17時半までに入館したらOKだったので、行ってみることに。しかし、お昼過ぎまでは小雨だった雨がだんだん本降りに☔
『パナソニック汐留美術館』との出会い
都会のオフィスビル確か4階にあるので、一見初めて行かれる方は、こんな所に美術館あるのかと思って迷ってしまいそうな場所ですが、ジョルジュ・ルオーという画家の作品を多く所蔵していることでも有名です。別名「ルオー美術館」とも呼ばれています⁉新橋駅からは徒歩10分以内で行くことができます。
実はこちらの美術館に訪れたのは2度目。ご縁を感じてしまいました。マティス推しの私は以前、2017年にこちらで「マティスとルオー展-手紙が明かす二人の秘密」という展覧会にみに訪れたことがありました。
ルオーとマティスは、ギュスターヴ・モローが教鞭をとるパリ国立美術学校の同級生でした。


「Sphinx in a Grotto」Gustave Moreau
聖書や神話などの題材にしたテーマを想像と幻想の世界を象徴主義の画家であるモローは、美術の固定観念に縛られない画家の個性を尊重する指導者であった。ルオーは生涯モローへの恩義を忘れずに慕っていたという。
ルオーとマティスは同じ*フォーヴィズムの画家と分けられていますが、色彩の喜びを表現し線を単純化していったマティスとは対照的に、ルオーの画風は厚塗りで感情を表す力強い色彩。マティスには軽快さがあり、ルオーは重厚で深い。2人は両極な面もありながら、互いを尊敬しあい50年以上に至りマティスの死の直前まで手紙を通じて励まし合い切磋琢磨しながら💦画家としての道を極めていった仲間でした。
*フォーヴィズム・・・平面的な表現: 遠近感や陰影(立体感)をあまり使わず、平らで装飾的な画面を作り見た目の現実ではなく心のままの色を描きました。この強烈な色彩で描いた作品を見た批評家が「まるで野獣(フォーヴ)の檻の中にいるようだ」と皮肉を込めて言ったことが名前の由来です。マティスはその呼び方を好んでいなかったよう>.<
ジョルジュ・ルオーについて
ところで、ジョルジュ・ルオーという画家は知っていますか? 有名な画家であるのは間違いないのですが、キリスト教を題材に描いた宗教をテーマとした作品が多いので(日本は仏教国なので)あまりメジャーではない気がします。
ジョルジュ・ルオーは、敬虔なカトリック信者であり指物職人の家に生まれ、画家になる前は元々はステンドグラスの職人をしていました。
しかし画家になる夢をあきらめきれず美術学校に入学しました。ルオー独特の黒い縁取りのような太い線は、ステンドグラスのガラス同士をつなぐ黒を連想させます。骨太な情感溢れる多彩な色彩もステンドグラスの色彩を連想させます。


1937「Christ」Georges Rouault
こちらのルオーが描くキリストをみて、何を感じますか?
キリストの横顔が描かれ、下を向いてうなだれているようです。悲しみの感情がこちらに伝わってくるよう。
全身を描いたキリストを描く作品は数多くありますが、宗教画には決まった型通りの厳格な描き方があるようでした。自由な宗教画を描くのは難しい時代が続いていたのでしょう。
しかしルオーが描くキリストは、とても自由。顔だけ描いたものだったり、人間と一緒に歩いているものだったり、より人間の近くで寄り添い、同じ心や身体の痛みや悲しみを共有しているよう。神はいつも人の傍にいるから大丈夫という力強さを感じます。
長谷川潔ーパリに生きた銅版画の軌跡
かれこれ美術に興味を持って、20年以上は、時々美術館巡りを趣味にしている私ですが、未だに初めて知る画家も多くいます。長谷川潔という画家も初めて知りました。ですが作品は“どこかで見たことがある”ような気がしました。

長谷川潔について
日本で洋画やエッチングや版画を学んだ後、版画技術の向上のために渡仏し、創作活動を続け数々の賞を受賞しました。しかし戦時中の混乱した時代、パリを離れることを余儀なくされ、妻と娘と3人で苦しい生活のなかでフランス国内を転々としながら暮らしました。戦後はパリに戻り古い版画技法(メゾチエント)を再復活させ制作活動に没頭し、様々な技法の版画作品を制作し芸術家としての円熟期を迎えるが、89歳で亡くなるまで生涯日本に戻ることはなかった。
主に白と黒のモノクロ作品が多く、白が背景か黒が背景になっているかのどちらかでした。晩年に近い作品は殆ど背景が黒。“黒には7色ある”(どこかで聞いたことがある⁉)と言う言葉をのこし「黒」の濃淡コントラストがとても印象的でした。「黒の版画家」とも呼ばれていました。
~見終わった感想~
「黒」のイメージは、暗い、闇などを怖さを感じる方も多いと思いますが、長谷川潔の作品は、どれも可愛いく乙女チック。版画作品のモチーフは、小鳥、花、小さな魚、人形、蝶々等々、1つ1つが少女が好むようなものが静寂のなかでスポットがあたっています。複数のオブジェの不思議な組み合わせには神秘的な調和が生まれています。黒が主役を引き立たせるのでこの小さな作品には色彩はいりません。ごちゃごちゃと雑でなく暖かで落ち着いています。けれどもその玩具や金魚鉢や人形たちはその持ち主を待っているかのよう。きっと物にも愛され大切にされたいという寂しさがある。「いつか少女はこの大切にしていた物を手放すだろう…」白黒の効果なのか人間の愛玩物としての儚さや哀愁が漂っているように感じました。
愛玩物…大切にしてかわいがるものや、もてあそんで心の慰めにするもの(おもちゃやペットなど)
疲れた時には『パナソニック汐留美術館』へ行こう!

正直、こちらの美術館が開いていたことは、幸いでした*^__^*
実は私ここにたどり着く前までは、かなりもうへとへとに。行列に何度も並び、人の多さと足並みの速さ、そして夕方近くから雨が本降り( ;∀;)。ほぼずぶ濡れで美術館にたどり着きました。
大規模な美術館に行くと作品数が多いのもさることながら、情報量が多過ぎると全部見終わった後、かなりの体力とエネルギーを消耗します。『パナソニック汐留美術館』は、こじんまりとした小さな美術館なので、小部屋に飾られた絵画を少しずつみていくことができます。混雑状況にもよりますが、落ち着いた部屋のなかで、ひとつひとつの作品をじっくり鑑賞できて、疲れた身体や心を癒してくれるような美術館。まるで都会のオフィスビルの中の心と身体を充電できる小さなパワースポットのよう。
できたら、また再訪したい美術館。また3回目もご縁があったらいいなぁ。
早々に東京駅に戻り夕食そして、無事に帰宅

夜11時発のバスに乗るまで、かなり時間あったのですが、早々に東京駅に向かい、夕食は駅の中にあるタコスのお店へ。実はタコスめちゃくちゃ好き。沖縄で食べて以来、遠出した時には美味しいタコスのお店を探してしまう。Netflixで「タコスのすべて」という番組をみて、なんて奥が深い食べ物だと知って感動✪ ω ✪。お酒はあまり飲まない方ですが、夜行バスでそのまま寝れるかなとレモンサワーと一緒に👍
本当は東京駅前に行って立派な建物を眺めたかったけれど雨降りと足が痛くなってたので、バスターミナルの待合所でただただぼーっと待っていました。ようやく無事バスに乗ることができました!
結局、お酒を飲んでも全く眠ることができなかったので休憩で毎回降りては、軽くストレッチをして身体をほぐして、一睡もすることなく着いたのは6時40分。朝日が眩しかったー🌞家に着くと倒れるように横になり昼まで爆睡いい旅夢気分(∪.∪ )…zzz
親しい人と行く旅も楽しそうですが、やっぱり自分の行きたい所と相手が行きたい場所、食べたいものが合わないこともある。気まぐれに目に入ったお店に入ってみようとか。疲れた時にも気兼ねなく自由に休める。私は1人の時の方がその場所の空気感、視覚、音、風、匂い、五感をちゃんと味わって集中できる気がします。
しかしながら、ひとり旅には危険も伴います。事前に備えることや危険そうな所には絶対近づかないことは徹底してくださいね‼今回のひとり旅は、3150でした!
山田五郎さんに哀悼の意を込めて
話しは変わりますが、
先月、美術評論家兼タレント、コラムニスト、YouTuber等々山田五郎氏の訃報が伝えられました。
私が去年、美術検定を受けるきっかけにもなったのは少し時間に余裕ができはじめたころに「山田五郎オトナの教養講座」というYouTube番組を見始めるようになって、美術への関心が高まっていったのも理由の1つです。
以前から山田五郎さんは、NHKBSで放送されていた『ぶらぶら美術館』という美術館・博物館の展覧会を廻りながら解説するテレビ番組を(おぎやはぎとの絶妙なやり取りが好き)よく見ていて、専門用語をあまり使わない説明は分からない人が見ても面白く、幅広い知識と多分野のジャンルの博識の高さと洞察力。それなのに堅い学者タイプではないので飾らない山田五郎(⊙_⊙;)解説のファンでした。
あと、YouTubeを見てから『山田五郎』が、まさかペンネームだなんて、持ち主が見つからないシャープペンシルに「山田」と書いてあったとか。どこにでもありそうな名前をつけるとこが流石のセンスだと思いませんか?
(個人的に)印象的だった芸術家の解説Top5
有名な作品は「この作品見たことある!知っている!」という人は多くいらっしゃっても、描いた画家に関して詳しく知っている人は意外と少ない。
絵画が崇高なものとして素晴らしいと評価されたならば、画家に対するイメージも勝手に自分の中で創り上げていってしまう⁉けれども芸術家の人生や人となりはイメージとはだいぶ異なっています。生活は荒廃し浮気や愛人⋆(注!そういう芸術家ばかりでもありません)酒に溺れダメダメだったり、時代に挑戦し描いても評価されず叩かれたりする中で、しかし描くことの希望と情熱だけは捨てずに作品を創って生きてきた人たち。
多分、著作権の都合で放送期限が切れていないものは、多分、ほとんど全部制覇し見たと思います。また、美術検定を受験した人の半数以上の人が、この「山田五郎オトナの教養講座」を見て勉強しているんだとか。
1 ドガ 印象派屈指の気難し屋⁉自然体の女性の姿を描いた画家は、実は女性と目を合わせられないほどシャイだったから。そんな画家の老年期の趣味とは。
2 モネ モネが睡蓮を描き続けた理由とは。そして当時の印象派の苦悩。良かったら、ついでにマネ先輩のも見て!
3 グラント・ウッド 当時の性的マイノリティに対する偏見から愛する故郷から距離を置く苦悩の人生。アメリカ田舎の保守派のおば様たちとのたたかい。
4 ロートレック 貴族出身の画家が生き生きと描いた人は、自分とは正反対の身分の人たちだった!
5 アルテミジア・ジェンティレスキ カラヴァジェスキの女性画家の悲劇の出来事とその不屈の精神力(できたらカラヴァッジョの回を見た後にできたら見て欲しいです)
※ 上記のお勧めの画家は全部の回を見てほしいので、敢えて「タイトル」ではなく「画家名のみ」を記しました。
他にも、ゴッホやゴーギャン、マティス、ユトリロ、Botero、セガンティーニ、ミケランジェロ・ブオナローティという画家などもランキングに入れたかった(>人<;)よろしければ、ご覧になってみてください。
山田五郎さんの解説は、イメージを下げている画家もいるかもしれません(・ω・)まるでその時代に近くにいて傍で見ていたように画家一人ひとりや生まれの生い立ち、性格、人間関係までありのままの画家たちを知ることができます。「お茶の間の日々の潤いを湿度が1%でも上がったら嬉しい」と仰っていた五郎さん。見終わったあとは、前より画家や作品が近づき親近感を感じているはず。
良かったら、今後もこの番組の継続を応援していきたいので、賛同してくださる方は、「山田五郎オトナの教養講座」チャンネル登録をしていただけると嬉しいです。
メメント・モリ

最後の五郎さんの授業のテーマは『メメント・モリ』でした。本当に凄い講座でした。
髑髏って、正直見ていて気持ちいいものではありませんが、五郎さんは、無類の髑髏収集家で💀は『縁起物』だと仰っています。「死を想え」「自分が死ぬことを忘れるな」というという意味であり、暗い意味ではなく「死ぬ前に楽しもう」「人生は儚い一過性のものだ。今を楽しめ」と骸骨が置かれているのです。死を前にしたら、どんな人も平等。
『メメント・モリ』を表す西洋絵画は「Vanitasヴァニタス」と分野で呼ばれています。ヴァニタスは虚栄という意味があり、静物画には人間の虚栄への戒めとして骸骨以外にも、『貝殻、ひょうたん、ガラス、時計、消えたロウソク、煙草、枯れた花、虫のついた腐っていく果物や食べ物、楽器、書物、地球儀、しゃぼん玉、コイン』等々が描かれて象徴しています。
それら全てはいつか朽ち果て永遠のものはないとは富を持つことや過去の栄華にしがみつくことへの虚しさの象徴として『メメント・モリ』的な意味を持って置かれ描かれています。それぞれがどんな意味を持つかを想像しながら絵画を見ると興味深いです。
『CarpeDiem』~今日の花を摘め!
最後のメッセージは『CarpeDiem』~今日の花を摘め!でしたね。
『CarpeDiem』という言葉は、古代ローマの詩人ホラティウスが歌った104の詩歌が収められた『歌集Carmina』の第1巻11にこの言葉があらわれています。
「明日のことはできるだけ信用せず、その日の花を摘め」
美術に対する「堅い扉」を開け、多くのひとに楽しく豊かに生きるための教養を伝えてこられた功績は計り知れないほど大きく、そのお人柄と思い出は、これからも多くの人々の心に生き続けることでしょう。
哀悼の意を込めて、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
